「ゲームがあれば、学習はドラックになる。」 ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義の読書メモ

 

人々は、ゲームやスポーツなら自発的にやるのに、仕事や学習は自発的にやらない人が多い。でも、ゲームの要素を使えば、仕事も勉強ももっと楽しいものに出来るのに。

そう筆者は主張しています。

 

本書は世界優秀の名門、ウォートン・スクールで初めて開講された「ゲーミフィケーションコース」を担当する筆者がゲームフィケーションの理論と実践のエッセンスを余すところ無く語り尽くした良著です。

 

自分がこの本について書評をするなど甚だおこがましいので、心に留めておこうと思った要素をメモとして残します。

 

大ヒットゲームの中身、そしてそのビジネスへの活かし方、

知りたくありませんか?

 

目次

1.ゲームを楽しくする3つの要素 

2.ゲーム要素の初級編:PBL

3.ゲーム要素の応用編:ゲーム要素のピラミッド

4.ゲームを設計する

5.ゲーミフィケーションの具体例 

 

ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義

ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義

  • 作者: ケビン・ワーバック,ダン・ハンター,三ツ松新,渡部典子
  • 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 2013/11/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

  

1.ゲームを楽しくする3つの要素

・自発的であること

→すべての人に強要するのではなく、やるかどうかは人によって選択出来ること

「人にやらされる」ことはモチベーションを削ぐ一番の要因になる。

(※ただ、普通は人にやらされることでも、上手くグループを作って「チームのためにやる」などのモチベーションを作れば自発的に取り組んでもらうことも出来るかも知れない)

・ルールがあること

→プレイヤーはゲームをすると決定した時点で、現実世界とは異なるルールの世界に入ること

・フィードバックがあること

→プレイヤーの習熟度によって最適な達成感や成長を与えること

特に単調なフィードバックよりサプライズ的なものの方が喜ばれる。

 

2.ゲーム要素の初級編:PBL

ゲーミフィケーションの最も一般的な要素は

P(ポイント)、B(バッチ)、L(リーダーボード)と言われる。

これにすべてではないが、ゲームを上手くいかせる要素が詰まっている。

 

・ P(ポイント)

ポイントには以下の効果がある

−効果的にスコアを記録する

−勝敗がある場合、勝った状態を示す

−ゲーム進行と外的報酬を結びつける

−フィードバックを提供する

−進捗を対外的に示すことが出来る

−データを蓄積する 

 

・B(バッチ)

バッチの5つの特徴

−ユーザーが取り組んでいく目標となる

−ユーザーが出来ることのガイダンスとなり、期待されていることを端的に示す

−ユーザーが気にかけていることや実行したことのシグナルになる

−ステータスになる

−グループの目印として機能する。同じグループの人同士のアイデンティティを生む

 

・L(リーダーボード)

仲間と比較した時の立ち位置を示す。

※ただし、指標は1つである必要は無い。

 

3.ゲーム要素の応用編:ゲーム要素のピラミッド

PBLはもっとも一般的だが、ゲーム要素はこれだけではない。

ゲームはピラミッドの上部から、

ダイナミクス

メカニクス

コンポーネント

で成り立っている。

 

ダイナミクス(5個)

制約(限界または強制的なトレードオフ

感情(好奇心、競争心、欲求不満、幸せ)

物語(一貫性、進行形のストーリーライン)

進歩(プレーヤーの成長と発達)

関係性(仲間意識、ステータス、利他的行為を実感させる社会的交流)

 

メカニクス(10個)

チャレンジ(解決するために努力が求められるパズルや他の課題)

チャンス(ランダムな要素)

競争(一人のプレーヤー、または一つのグループが勝ち、その他は負ける)

協力(プレーヤーは共通の目標を達成するために一緒に働かなければならない)

フィードバック(プレイヤーの実施状況に関する情報)

リソースの獲得(有用で収集可能なアイテムを入手する)

リワード(何らかの行動やアチーブメントに与えられる恩恵、報酬)

取引(直接的な、あるいは仲介者を交えたプレイヤー間の取引)

交替(プレイヤーを交換し、継続的に参加する)

勝利(一人のプレイヤーまたは一つのプレイヤーを勝者にする対象。引き分けや負けの状態は関係概念。)

 

コンポーネント(15個) 

アチーブメント(定められた目標)

アバター(プレイヤーのキャラクターを視覚的に表現したもの)

バッチ(アチーブメントを視覚的に表現したもの)

ボス戦(特に、あるレベルの頂点における難しいチャレンジ)

コレクション(貯めるアイテム、またはバッチのセット)

コンバット(定められた闘い。通常は短期的。)

コンテンツのアンロック(プレイヤーが目標を達成するとロックが解除され利用可能になるもの)

ギフティング(多のプレーヤーとリソースを共有する機会)

リーダーボード(プレイヤーの進捗やアチーブメントの視覚的な表示)

レベル(プレイヤーの進捗における一定のステップ)

ポイント(ゲームの進み具合を数字で表したもの)

クエスト(目標と報酬を伴う、あらかじめ設定されたチャレンジ)

ソーシャルグラフ(ゲーム内でのソーシャルネットワークを表すもの)

チーム(共通の目標のために協力するプレイヤーのグループ)

バーチャル商品(架空の、あるいは実際に貨幣価値のある資産)

 

4.ゲームを設計する

以上のようなゲームの要素が必要になってくるのは実は最後で、

実はそのまえのステップが重要。

 

〈事前準備〉

・ビジネス目標を定義する

→顧客維持やブランドロイヤリティの向上など

・対象とする行動を詳しく説明する

→コメントを書き込む、tweetする、30分以上運動するなど

・プレイヤーを詳しく説明する

→詳しければ詳しい方が良い。趣味なども含めて。

20代の女性 など抽象的なものでは上手く設計出来ない。

 

上記準備をふまえた上で、ゲーム要素を構成していく。

 

でも最後に一番重要なのは、そのゲームが楽しいかどうか。

「プレイヤーが自発的にプレーしそうか。」

その質問にYesと答えられることが最も重要である。

 

5.ゲーミフィケーションの具体例

マイクロソフトの「Language Quality Game

マイクロソフトの製品は多言語での緻密なバグチェックが必要。

この地味で大変なバグチェックをゲーム化し、バグを見つけるたびにポイントが得られるようにし、言語間で競わせた。

 

→任意で4500人参加、6700件のバグを発見。

 

・ゲーマーが立ち上げたマッチョになるためのSNSFITOCRACY

ジョギングとジムの記録を取り、より激しいトレーニングに取り組めばご褒美があり、

SNSでヒント、サクセスストーリーを共有出来る。また、「ベンチプレスの最大重量」などのカテゴリ別にユーザー同士で対決出来る

 

→1年間でユーザーが1000人から20万人に。

 

追記

 ちなみに、ゲーミフィケーションといえばこちらも良記事です。

Gabe Zichermann緊急来日! Gamificationセミナー報告

http://techwave.jp/archives/51716146.html

 

ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義、超オススメです。

ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義

ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義

  • 作者: ケビン・ワーバック,ダン・ハンター,三ツ松新,渡部典子
  • 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 2013/11/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (1件) を見る